初任給で買った、あの3つのモノの話

初任給で買った、あの3つのモノの話

 

「初任給、何に使った?」

そんな質問が飛んできたとき、すぐに思い出せる人ってどれくらいいるんだろう。

私にとっての初任給は、手取りで20万あったかどうか。

バイト時代には月15万円ほど稼いだこともあり、正直増えた額としては大喜びする額ではなかったことを覚えている。


正直、生活するだけで結構ギリギリだったけど、“社会人として最初のお金”には、ちょっと特別な意味があった。

気づけば今ではどれも手元に残っていないけど、あのとき買った3つのモノには、それぞれにちゃんと「理由」と「物語」があった。

1. 高さ調節ができる枕

新生活のために一人暮らしを始めて、まず直面したのが“眠れない問題”だった。

ベッドは安く揃えたし、寝具も最低限。


でも、毎朝起きると首が痛くて、なんだかスッキリしない。

「やっぱ枕って大事なのかも」と思って、思い切ってちょっといい枕を買った。


自分で高さを調節できるタイプで、詰め物を抜いたり足したりできるやつ。

寝具に1万円以上かけたのなんて人生で初めてだったけど、


その晩は「ちゃんと眠れる」ことが、ものすごくありがたく感じた。

結局その枕も、数年後に手放してしまった。


でも、“自分のために少し贅沢する”っていう感覚を教えてくれたのは、あの枕だったと思う。

ちなみに、今使っているのはニトリのホテルスタイルの枕。

 

結局自分に必要なのは、高い値段を出して買う枕よりも、必要十分なふかふか感のある枕なのであった。

2. 万年筆

学生時代から、文房具にはちょっとこだわるタイプだった。

ノートはLifeのノーブルノートが好き。(今でも)。


ペンは青春時代を共にしたDr.Gripで、グリップ部分がグリーンのもの。

でも社会人になったタイミングで、「ちゃんとしたペンが欲しい」と思った。


それで選んだのが、万年筆だった。

ペンハウスの万年筆。

上記の画像の通り、とっても綺麗な万年筆だった。

普段のメモ書きや会議メモには使えなかったけど、


日記を書いたり、ちょっと手紙を書いたり、


“自分と向き合う時間”のための道具として、大事にしていた。

インクのにじみとか、筆跡のリズムとか、


打ち込み式のキーボードでは得られない感覚があった。

でも結局、使う機会はどんどん減って、


最後は引き出しの奥にしまわれて、手放してしまった。

それでも、「初任給で買った万年筆」という響きが好きだった。


なんだか少し、大人になれた気がした。

3. 目のスチームウォーマー

社会人って、こんなに疲れるんだ…


と、思い知らされたのが入社して最初の1ヶ月だった。

一日に何時間も座ってPC入力をすることが、毎日続くなんて信じられなかった。(今では当たり前なのだが。)

目も肩もバキバキで、帰宅するともう何もできない。


でも、スマホは見たいし、なんだか眠れない。

そんなときに買ったのが、目のスチームウォーマーだった。

 


ホットアイマスクの進化版みたいなやつ。

目の上に乗せてベッドに横になると、


なんだかじんわりと「今日も頑張ったな…」って気持ちになる。

たぶん、物理的な温かさと一緒に、


“ちゃんと自分を労わってあげる”っていう儀式だったんだと思う。

これも数年後には処分してしまったけれど、


あの頃の自分には必要な時間だったと思う。

今はもう手元にないけど

あのとき買った3つのモノは、今ではどれも手元にない。


だけど、不思議と後悔はしていない。

それどころか、“あのときの自分”にちゃんと寄り添ってくれたモノたちだったなと、今でも思う。

初任給って、金額以上に「自分が何を大切にしたか」が表れるお金だと思う。


生活のために必要なもの、心を満たすためのもの、自分を癒すためのもの。


それを、ぎこちないなりに選べた自分を、今ちょっとだけ褒めてあげたい。

これからも節目のたびに、


「何を買うか」じゃなくて「なんでそれを選んだのか」を


大事にしていけたらいいな、と思っている。

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